The Pretty Things / S.F.Sorrow(1968)

Columbia SX6306
S.F.Sorrow Is Born (May-Taylor-Waller)
Bracelets Of Fingers (May-Taylor-Waller)
She Says Good Morning (May-Taylor-Waller-Alder)
Private Sorrow (May-Taylor-Waller-Povey)
Balloon Burning (May-Taylor-Waller-Povey)
Death (May-Taylor-Waller-Alder)
Baron Saturday (May-Taylor-Waller)
The Journey (May-Taylor-Waller-Alder)
I See You (May-Taylor-Waller)
Well Of Destiny (Smith-May-Taylor-Waller)
Trust (May-Taylor-Waller)
Old Man Going (May-Taylor-Waller-Povey-Alder)
Loneliest Person (May-Taylor-Waller-Alder)
< CD BONUS TRACKS >
Defecting Grey / Mr.Evasion / Talkin' About The Good Times /
Walking Through My Dreams
 今回のこのコーナーで取り上げたのは、プリティー・シングスの4枚目のアルバムとして68年に発表された『S.F.ソロウ』です。このアルバムは彼らの代表作というだけでなく、「史上初のロック・オペラ・アルバム」として高く評価されていて、その後のロック・シーンに与えた影響の大きさははかり知れないものがあり、とくにザ・フーやキンクスの作風には多大な影響を与えたことで語られることの多い屈指の名盤です。

  ビートルズが『サージェント・ペパーズ〜』を発表して以降、多くのバンドがアルバムを制作する際に、それまでのただ単に10数曲を収録すればいいというものから、ベースとなるひとつのイメージで全体的な統一をはかるというものへと方向性を変えていきました。  

 そんなシーン全体の移り変わりの中で、プリティー・シングスはこの時期、67年発表のアルバム『エモーションズ』のレコーディングをめぐってレコード会社と対立。契約の終了を待って、新たにEMI傘下のコロンビア・レーベルへ移籍します。そして、第1弾シングルである「ディフェクティング・グレイ」を同じ年の11月に発表しました。そしてさらに、この曲で大幅に取り入れたサイケデリック・サウンドをさらに発展させた形で、アルバム『S.F.ソロウ』のレコーディングを開始。サウンド面 でのさまざまなアイデアを実現しつつ、アルバム全体を通してセバスチャン・Fという男の生涯を描いたひとつのストーリーが展開するという、いわゆる「ロック・オペラ」的な作風を取り入れた、それまでに類を見ない画期的な作   品として完成し、翌68年に発表されました。

  しかしこの当時は、まずレコード会社がこのロック・オペラという作風に難色を示し、ツアーや広告のための援助をまったくといっていいほどしなかったために、ほとんど評判になることはありませんでした。そのためか、一説によると5000枚ほどしか売れなかったそうです。さらに、あとから発表されたザ・フーの『トミー』が先に評判になってしまい、このアルバムの存在がようやく一般 的に知られるようになったときには、二番煎じ的な扱いを受けることになったこともあり、発表された当時は正当に評価されない不運な作品となってしまいました。

  現在では、この「史上初のロック・オペラ・アルバム」に対する評価は高く、プリティー・シングスの代表作というだけでなく、ブリティッシュ・ロックを代表する名盤のひとつであることは、間違いありません。
  98年にもこのアルバムの発売30周年を記念した再現ライブが行われ、その模様はインターネットを通 じて実況中継されて話題になりました。限定盤ではあるもののCDでも発売されています。

※このアルバムは何度かCD化されていますが、おすすめは彼らのオリジナル・アルバムのほとんどをCD化しているスナッパー・ミュージックから98年に出た(SMMCD 565)です。こういったコンセプト・アルバムには必要ないという感じもしますが、シングル発表曲など4曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。日本盤CDはヴィヴィッド(VSCD2796(I))から。