デジタル・リマスター盤の再発やBBC音源の発掘など、ほかのバンドのニュースがいろいろ聞かれる中で、ローリング・ストーンズに関しては公にはほとんど音沙汰もない状態が続いています。
だからというわけではないんでしょうが、あちこちのボードでは結構話題になっていて、とうぜん多いのは「どのアルバムがいちばん好きか?」ということでいろいろ盛り上がっていたりします。
で、今回はストーンズのアルバムを紹介しようと思ったのですが、いろいろ迷ったあげく、個人的にいちばん好きな『ベガーズ・バンケット』を取り上げることにしました。
時代性を意識して進めてきたサイケデリック路線に、前作『サタニック・マジェスティーズ』でいちおうの決着をつけたメンバーが、自分達のルーツである「米国南部」的なサウンドを再び追求しはじめるきっかけとなったのがこの『ベガーズ・バンケット』というアルバムです。それだけに、全体を通して展開する、よりシンプルでレアなサウンドが強く印象に残る仕上がりになっています。
とはいっても、けっして前作でもっていた実験性が失われたわけではなく、このアルバムの独自性は、まさのその実験的なサウンドの追求にあるといってもいいかもしれません。
とくにアルバムの1曲目に収録された「Sympathy For The Devil(悪魔を憐れむ歌)」では、これまでの活動の中で独自のビート感を獲得したリズム・セクションと、コンガで参加したガーナ出身のパーカッション奏者ロッキー・ディジョーンによって最先端のグルーブをつくり出すことに成功。90年代になってからもこの曲は、重要なナンバーとしてライブで演奏されることが多いのがうなずける名曲です。
そのほかにも、「Street Fighting Man」で聴かれるドライブ感に満ちた演奏や、「Prodigal Son」のようなブルーズ・ナンバーにおける独自性など、《ストーンズ・サウンド》というものがすでにこの時点で完成をみた、そういっても過言ではでしょう。
ブライアン・ジョーンズが参加した最後のアルバムという一面もあって、必ずしもこの時期ローリング・ストーンズというバンドの状態がベストであったとはいいがたいのですが、逆にそれがテンションの高い演奏を生むきっかけとなったのかもしれません。
この後、『レット・イット・ブリード』や『スティッキー・フィンガーズ』といった名作を作りあげていくことからも、このアルバムはストーンズだけでなく、ロックというものを語る上で、非常に重要な作品だと思います。 |
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